HMV JAPAN10周年企画merry chimeシリーズは、第一弾のラウンジ、第二弾のフレンチハウスに続き、第三弾はNovel Cell Poemとの共同企画にてトイポップとなりました。
このディスクをきっかけにトイポップがいろいろな方に聞いていただけたら、、と思っています。

 

KLIMPEREI
フランス、リヨン在住のフランソワ&クリストフ・ペッチャナ夫妻によるへんてこ玩具ユニット。クリンぺライとはドイツ語で「少しだけピアノが弾ける」という意を持つ。フランソワが名付け親。おもちゃのようなかわいらしいサウンドもあるが、現代音楽的なアプローチや、叙情的な音楽も数多い。活動歴は20年に及び、その中でリリースされた作品(カセットも含む)の数ははっきりとせず、現在すべて入手するのも難しいといわれている。詩人アル・シームレスとのユニットAL&DELや、ピエ−ル・バスティアン等、多数のアーティストとの共同制作も行っている。2000年はリリースラッシュであったようで、1年で3枚ものリリースであった。
frank pahl
アヴァンポップバンド、オンリ−・ア・マザーを率い、ミシガン州の片隅で最高にチャーミングな音楽を作り続ける奇才。プリペアドピアノやバンジョ、ギター、ハーモニカ、さらにはもうふつうには見たことのないような楽器等、多種多様なものを使って音楽を作り上げる。バンドサウンドよりもソロ作品の方がよりロウファイで、実験的な試みにも多く取りかかっている。また、シェイクスピアの劇『テンパスト』の舞台公演にあけるオリジナルスコアを手掛ける等、幅広い音楽活動を展開している。新作ソロアルバムのリリースも控えている。
dragibus
パリ在住のカップル、ローとフランクによって1995年スタート。フランスやイギリス、ハンガリーの古い童謡をモチーフに、パンクやノイズ、エレクトロのフィルターを通 したサウンドと、ローのロリータヴォイスをフューチャーした曲がパリの子供達や、アンダーグラウンドシーンで注目を浴びる。1997年には『POPO CLASSICS』より1stアルバムをリリース。同レーベル日本人アーティスト、まみちゃんと共に初来日。現在はレオも加入し3人で活動を行っている。ジャケット等にみられるかわいくて暖かみのあるアートワークはボーカル、ローのもの。2000年12月から1か月高円寺モーガンカフェにて個展も行った。また、フランクはフランスにあるカルチャーショップ『ビンボータワー』の店長でもあり、日本のアンダーグラウンドシーンをフランスに伝えている。

 

 

 

 

 

mami chan
クラシックピアノを基盤に持つ彼女は、渡仏後1996年、パリで初めてのインディペンデントレーベルである”サラヴァ(Saravah)”内レーベル『POPO CLASSICS』と契約し、mami chan bandを結成。ライブ活動を始める。
1998年、ウッドベースのアンヌと”mamichanne(マミチャンヌ)”として日本でライブを行う。
その後、A.P.C.と契約。2枚目のアルバムは元ストック、ハウゼン&ウォークマンのアンドリューとの共作。今回はmami chan個人名義での参加。近々MAMI CHAN BANDの初アルバムにしてライブアルバムを発売予定。ちなみに現在のメンバーはマミチャン、ミカ、オリビエ、エミコ、アンヌ、アンドリューの6人。
Harpy
変拍子レコメン人間イトケンこと伊藤憲司率いるharpy。結成は1992年秋。変拍子を基本としたなんでもありというコンセプトのもと、Vocal、Stickbass、Drumsという3ピースで活動開始。その後、1996年メンバーチェンジをし、現在の編成に。1996年10月にはMusic Merge Festivalに出演し、Eliott SharpやGaster del solらと共演。1997年7、8月にはフランス、イギリスでライブを行う。1998年2月にはdragibusとも共演した。同年、Jim O'royke、John McEntire等と共にBeach Boys tribute albumへの参加や、アメリカツアー等精力的に活動をした。2000年春よりメンバーの体調不良によりライブ活動中止。レコーディング、ネット上での活動に移行。 2000年秋に仮復活後、2001年2月に正式復活をするが、夏よりまたしても活動休止。そして、やっぱりヘンチクリンな音を目指す!

 

 

 

 

 

mayunoniwa
日本的、子供的な感性。ほのぼのとした感覚と激しいロック的な感覚との両方を持ち合わせた音。詩を中心とした曲作りをテーマに活動当初は歌ものが多かったが、だんだんインストよりになってくる。基本的にはひとりユニット、ライブ時にはバンド編成になることもあり。
今後はヨーロッパ方面でのリリースを中心に絵本&CD&DVDでの映像とサウンドのアルバムにとりかかる予定。

pascal comelade
ピレネー山脈のふもとの小村で音楽を作り続けるフランス音楽の鬼才、パスカルコムラード。トイピアノやプラスティックギター等を使って奏でられる彼の音楽は、かわいらしくノスタルジックで、しかし一筋縄ではいかないようなヒネクレタ面 も持ち合わせている。1983年にベル・カント・オーケストラを作り、彼の楽曲の多くに参加している。
ロバート・ワイアットや、ピエール・バスティエン、PJ HARVEY等他のアーティストとのコラボレーションも多い。 日本でも渋谷系音楽のはしりとして一世を風靡してから早10年。相変わらずのマイペースな活動ぶりで、2000年には来日公演も行った。
 

 

 

 

 

amakasie noka

1994年結成。ユニット名は漫画家友沢ミミヨが命名。 結成当初は『ボーカルアンサンブル&リズム中心の楽曲と、映像を ミックスしたステージ形態を基本とするユニット』として活動していたが、その後ダンスユニット『珍しいキノコ舞踊団』とのコラヴォレーションを行い、ゆるやかに変化を辿る。ただ、当初の、音楽とヴィジュアルを感覚的にミックスする事により、聴覚と視覚の新しい一体化を目指す、という基本姿勢はかわっていない。 95年の第一回公演『even+odd』では15人のボーカル+生ドラム+バックバンド+指揮者という大所帯だったが、96年以降はmayutan&colin(雑種・7才)の一人と一匹で活動している。
現在、『even+odd』以降久々に音楽・ヴィジュアル共担当する企画、『KARAOKE』『muusik bohman』の二つを同時進行中。

David Fenech

フランス生まれ。現在もフランス在住。パリで生活を送っている。(RE)AKTIONからのコンピ"Control Z"やsnowdoniaからのコンピ"The last famous international glutton"など20作ものコンピレーションに参加。ソロではカセット、CDでのリリースも。
多数のバンドやプロジェクトに深く関わりを持っている彼は、フランクパール等のCDをリリースしているDemosaurusというレーベルの運営もしており、素晴らしい音楽を世に出していくことにも情熱を注いでいる。

 

 

 

 

itoken

harpyのリーダーでドラマーでコンポーザーのイトケン。尊敬するアーティストは”Fred Frith”。好きなバンドは”Medeski, Martin & Wood”、嫌いな食べ物は”トマト”。 harpy結成の前は”IXA-WUD”という変拍子パワーロックバンドの作曲、ドラムを担当。現在はharpyの他に多数のバンドを掛け持つ。 GNU、viva!Furniture service、Saitto Elettrico Good Sound、EXPLOED TOY、Alphabetz、Win a Sheep Free、zuppa di pesceなどなど...。。 最近では、映画『風花』のサントラ制作に参加。公開イベントでは大友良英率いるバンドのドラマーとして映画の成功にも貢献。多忙な毎日を過ごしている。

このコンピレーションアルバムによせて沢山の方々より、お言葉をいただきました!

アイウエオ音順にて掲載しております。

こどものときにもっていたきらめきとときめきとゆらめきをそのままにおとなになっ てしまった、あるいはおとなになりきれないままのこどもたち。そんな彼らの奏でる おんがくを聴いて屈折した歪みを感じるのは、僕たちがゆがんだ世界に生きているか らだ。こんなに直接的で感情的で瞬間的で純粋な音はないのだから。ゆがんでしまっ た僕にはあまりにもまっすぐすぎて、眩しすぎました。

梶野 彰一(atelier L'APPAREIL-PHOTO)


なぜか、昔好きで聴いていた
アクサクマブールというユニットのアルバムを
思い出しました。
吉祥寺のペンギンカフェというところで
流れていた音楽だったのですが
木目をとことこ歩いている感触、
ゆがんだハンドメイドのガラスからもれる 陽の光、
といったイメージに近い種のものでした。
このトイポップもまた
どこかそんなノスタルジックな感じがして
聴いていると、 いつのまにかくすっと笑っていたり
(そんな緩んだ自分が嬉しかった)
急に御無沙汰していたイチゴミルクのかき氷を
食べたくなったり、 という気持ちにさせられました。
どんな人でも今の自分を作っているものは
幼児体験にある、といわれていますが
だとしたら『TOY』という感覚は 誰をもの源にある、ということでしょ。
だからこの音楽も前からよく知ってたような
気になるのは自然なことなのかも知れません。

一種の情景音楽、
笛を吹く子供が走り回っていたり、
ウサギがピョコピョコ跳ねていたりする映像が
私の頭の中によぎります。
特にKLIMPEREI。
コラージュ要素が強いのに
音楽の大事なところを切り離していない凄さが
アーティストとしての才能を感じました。
揺れるテンポ感、ルバートのくすぐったさ、
もはや変拍子音楽はいがいに聴きやすい。
ポップの定義は前よりかなりボーダーレスになっている、
など思いながらこのトイポップのこれからがもっともっと
楽しみになっている自分に気がつきました。。

かの香織(ミュージシャン)


どれをとっても、ひと癖もふた癖もあるしたたかなトイポップ。

10年前にパスカル・コムラードをアダプテーションした時に思ったことだが、
おもちゃの音のかけらは愛らしくてかわいいのに、
音楽の持っている本質の部分はとんがっていて強靱なことだった。
今回のコンピレーションに浮遊するノスタルジックな優しさは、
ひと度はまると、神秘的な狂気と混沌とした世界の渦に呑み込まれ、
涙が溢れでてきそうになる。

単純に見える物は実は奥が深い。 “まさに大人のための大人のアルバム”である。

柴野さつき (ピアニスト)


ミュージック、おもちゃの楽器を使った音楽。

もし初めて聞くのだったら、きっと思っているより不完全でもなく、可愛らしすぎも せず、すごくアヴァンギャルドで、真剣で、猥雑な、かっこいい音楽だと思うはずな のだ。

私は聞きながら、「ピンクフラミンゴ」の聖なる、グロテスクな、過激な、うっとり とグロい映像を思った。

それに、知らない国の見たことのない映画のワンシーンが、浮かんでは浮かんでは浮 かんだ。

ミュージックは、まるで遠くの惑星で見知らぬ月族が奏でる音楽のようだ。宇宙の奥 から届く恐ろしい虚無と狂気のほとり。官能の音が和音と不協和音を作っているみた いなのだ。これは、もう欠けてキラキラ光ったたくさんの宝石、美しい不ぞろいの石 々、匂いの強いスパイスがたくさん入ったコールドスープみたいな、変な愛しいCDで す。

タカノ綾(アーティスト/kaikaikiki)


無邪気を装った邪気。
最も意地悪でシニカルでスノップな天使の羽根を背負ったテロリスト達の音楽。
オーガニックが注目されて久しいこの時代に
彼らは合成着色料と添加物がたっぷりはいった駄菓子しか食しません。
思慮深き大人達よ、怒り給え。しかしながら苦言はヌカに釘なのです。

嶽本野ばら(作家)


dragibusの日本でのライブで対バンやDJをさせてもらったりする機会があって、何 回かライブを見たことがあるが、そのたびにあの実験的精神に圧倒された。ところで あの宇宙人いったい誰!?と思いながらも、景色が良く見えるインテンポな音楽から 真っ暗で無重力で真空の無秩序な世界に果敢に突っ込んでいく彼らをうらやましく思っ た。
 このアルバムを聞いて、今現在どの曲が誰なのか分からないのが残念だが、やはり タイトル通りおもちゃの音がたくさん隠れている。日本のアニメのサントラもこのく らい多彩な音をつめこめばいいのに、と思う。SELFというアーティストもついこの前 おもちゃだけで驚くべきポップミュージックを作り上げていた。「シャーペン」とい うユニットをやってる友人がいるのだが、彼の家に遊びにいくと、やはりこのアルバ ムのような音がたくさん隠れている。
 シーケンスや音源を使って常に机の前で音楽を作り上げてしまうのは物足りない。 たまには足を伸ばして台所から音を拾ったり玄関先で猫の声を、そのまま通 りに出て 長距離バスに乗って気が付いたら温泉地でレコーディング、というのも悪く無い。ち なみにこれは僕の話。  
  僕は音楽だけを仕事にしているけれど、それだけに普段まったく別の仕事をしてい る人が趣味で作った音楽なんかに凄く刺激を受けたりする。それなりに音数が足りな かったりテンポが無かったりコード進行がバラバラだったりする無秩序加減がやたら 魅力的であったりするのだ。
 例えばとても秀逸に仕上がっているあの映画のサントラの1トラックだけを覗いて みたいと思わないか。トンゼーの最近のアルバムの2枚組にはそんなものが入ってい てとても面白かった。
 さらに、すべてのトラックをひとつひとつスピーカーを分けて一度に流すとか。そ のスピーカーの一つをぐるぐると回転させるとか(これはシェーンベルクが昔やって いた)。いくつかのスピーカーがそれぞれ高速で自分のまわりを移動し続けドップラー 効果で音が低くなったり高くなったりするとか。
 時に実験的な音楽はどうも人に敬遠されがちなところがある。単なるアプローチと してもそうだ。僕も自分のレコーディングにおいて突飛なことを次々と重ねていこう とするとなぜかまわりからストップがかかったりする。何の根拠もなく言われたりす るので、そういう時はあまり作業は見せずに完成した姿だけを聞かせたりすることに している。逆にその敬遠されがちな部分にだけ作り手が執着してしまうのもいただけ ない。例えばポップスにおいて、実験的ポップスも全く実験していないポップスも、 本質的には同等なのである。聞く時も作る時も。ノイズも同じ。

HARCO(ミュージシャン)


子守唄

子供の頃
狂気と魔法だけがあった
作りもののウソも灰色の現実も無く
皆がアーティストだった
このアルバムはその衝撃的な
最初の瞬間を思い起こさせるだろう

ロバート・ワイアット & アルフリーダ・ベンジ