まずは、手短に、何歳であるか、どこで生まれたか、音楽のキャリアはどのくらいか、ユニットの背景がどのようなものなのかを教えてください。
フランソワ:わたしは44歳で、今もずっと住んでいるリヨン(フランス西部)で生まれました。ピアノは子供のころに個人レッスンを受けていて覚えたのです。
ベートーベン、モーツァルト、ハイドン、バッハ、ショパンなど、クラシックだけを習いました。家でもクラシックばかり聴いて、ポップスはジェントルジャイアントとLeonard Cohen以外は聴かないですね。クリストフに出会ってから、マイクオールドフィールドやレジデンツを知りました。
彼は40歳でLille(フランス北部)生まれで、8歳の時には寝る前に口でクレイジーなジャズトランペットを吹いていたみたい。10歳の時に少しばかりピアノを覚えたのだけれど、本当に音楽をやり出したのは1975年、16歳の時にドラマーとして、が最初のようですね。

クリストフ:その頃、僕達のバンドは70年代のドイツ音楽をやっていたんだ。アシュラテンペルやカン、アモンヂュールの様な感じの。19歳の時はほとんど一人で”Los Paranos”というバンドを作って、これはミニマルカントリーエレクトロポップだったんだ。その頃僕は、レジデンツやベルウブなどを聴いていたからね。21歳の時にフランソワに出会った。彼女はピアノは弾けるけど、この”Los paranos”のサウンドには興味はなかったから、何度か会った後、音楽スタイルを変えることにしたんだ。ピアノを買う為にシンセサイザーにドラムマシン、それにエレキギターも売ってしまった。そして短い曲を作り、演奏を始めたんだ。特にサティを念頭においてね。友人のくれたトイ楽器も素早く取り入れた。僕達のやっているこの新しいスタイルの音楽を聴いて興味をもった人たちが、自分達のレーベルでカセットテープを作らないかと言ってきた。後はCDもね。そうして転がっていったんだ。その後はお金がすこし手許にあったのでもっと楽器を買った。けど多くは友人から借りているんだけど。2本のアコースティックギター、エレキ1本、ベース1本、...(笑)
ふたりは夫婦ですか?それとも兄弟のような感じですか?
クリストフ:僕達は20年間ずっと夫婦だよ!
楽器はなにを使っていますか?演奏する時の役割は?アルバムの為の作曲の過程はどんな感じなのですか?
クリストフ:キーボード、ピアノ、デジタルシンセ(シーケンサー)、それと小さなアナドグのモノフォックシンセ。フランソワと僕と両方が弾く。アコーフティックギター、エレキギターにベース、これは僕しか弾かない。他フルート、オカリナ、メロディカ、シンバルや小さなペダル、木琴から鉄琴、タンバリン、金属片から木片、いろいろふたりで使ってるよ。僕達にはアルバムの為の作曲過程などはない。ただ今回のアリスインワンダーランドのようのプロジェクトを除いてね。いつもふたりで一緒に音楽を作やっていく、必要、強い欲求があるんだ。そして録音する。エフェクトも多用するよ。そしてトラックをミックスしてからフランソワが曲に命名するんだ。彼女はとてもよい想像力を持っているからね。
今回のアリスインワンダーランドに関しては、本の構成やキャラクターや物語、回帰的なテーマなどにそくしていないといけない。このプロジェクトでは他にドミニクカルダンという友人と作業をしていた。彼は1曲ごとにどの楽器を使うか、ランダムに選ぶ事を目的としたベーシックプログラムを作ってくれた。1曲1曲各章のタイトルごとに複雑な計算が必要だったからね。しかしいつもうまく行った訳ではなかった。(コンピュータの)強制や束縛が大きかったからね。
このアルバム以外のアルバムは、ただ僕らが70年代になって聴いていたようなイエスやジェネシス、エマーソンレイク&パーマーなんかがコンセプトアルバムとして思い付かなかったような、異なった曲のコンピレーションなんだ。
そもそも最初なぜミュージシャンになろうと思ったのですか?
フランソワ:わからないです。さっき言ったようにクリストフと音楽を作って彼はがK7に録音をしてカセットを友人に送って、ちょっと成功したから続けていたのだけど。その後AYYAから私達がCDを作せんかって提案されて、コンピレーション用に曲を作ったり、私達だけのアルバムを作ったりって事を強く求められたんです。何年か前、雑誌に詩をいくつか書いて、そしてフランス語で”The Fill(縫い糸)”という冊子を作ったの。精神病院にはいっている女の子の人生についてよ。音楽はわたしにとってとっても楽しみなの。

クリストフ:僕もわからない。僕は10年間、絵をやろうとしてね。超現実主義と抽象派の中間くらいで。でもダメだったね。詩の本なんかも書くよ。この方面 ではBoris Pasternが大好きだ。"Les Voies Aeriennes”は知ってると思うけど。ただいろんな視点から見て僕の思うに、音楽は言葉よりも強力だ。さっきも言ったけど、僕が最初に曲を作ったのは1978年くらいだ。でもなぜ作ったのかわからない。頭がおかしくならない為に、、なんかそんな感じだ。わかるかな?そういった活動のみが自分にとって価値ある人間としてのか活動だと思うんだ。
クリンペライの音楽はとても叙情的です。そこにおふたりの生活の常識や良識とつながりはありますか?
クリストフ:フランスでは僕達の音楽は子供っぽいといわれている。テレビアニメなんかに合う音楽だよね。だから”叙情的”というのは始めて言われたけど、わかるような気はする。音楽をやる時んは僕達の気持ちは反映されているからね。シンプルであって知的的ではない。何かこう、子供達がゲームをやっていて何か発明したり、そしてそれが誰にもわからないような、、、でも他の人にもわかってもらえるようで。嬉しいね。
なぜクリンペライとい不思議なユニット名をつけたのですか?個人的な姿勢にどのように関係しているのでしょうか?
フランソワ:クリンペライは私がつけたの。ドイツ語で少しだけピアノが弾けるっていう意味でプロではない、という事。慎みを持ってつけました。私はドイツ語が好きだから。私達はフランス語でもなく、もちろん英語でもない名前がつけたかったんです。

クリストフ:この言葉は僕達の耳には満足だった。少なくともフランス人の耳にはね。僕達のやっている音楽のように聞こえる。”カラン、コロン”みたいにね。僕達はどちらかといえば社交的ではないと思うんだ、、別 の言い方をすれば音楽をやっている解きは非社交的で。
なぜライブをしないのですか?
クリストフ:いくつかの理由があるのだけど、1つ目は2人しかいない。ピエールバスティアンなんかとやる場合は別 だけど、2つ目は同じ事を何度も演奏したくないという事なんだ。それら新しいものを作る方がいい。曲が完成する前に次の曲のアイディアが浮かんだり、次の曲を作りたいって思ってしまう。でもライブをした事はあるんだ。一緒に出たのはロックバンドで”Totentaz”というバンドだった。これもドイツ語で”死の踊り”という意味だ。ステージの上から観客を操れるというのは好きになれない感覚だし、尊大な態度、ラウドな音楽が苦手なんだ。僕はライブをするにはシャイ過ぎるし、マルチレコーダーでいくつかの楽器を演奏するので一度にあれを全部演奏できないよ。
最近は何に影響をうけましたか?どんな音楽を聴いていますか?好きな本は?
クリストフ:影響というのはたいてい意識していないんだ。音楽に関してはフランソワのが教えてくれたクラシックをよく聴くよ。他は70年代や80年代の奇妙で不思議なバンドも好きだ。僕の友人が新しい音楽を教えてくれたりしたけど、僕はラップやテクノのリスなーではないんだ。うちのそばにある「メディアセンター」でCDを借りることもある。リヨンは大きな街だ。フランスで2番目か3番目かもしれない。本は、アンリミショー、カフカ、クリマ、コルタサル、ボルヘス。映画はフェリーニ、ヴェンダース、カサヴェテス、、、など沢山あるよ。

フランソワ:サティ、ドビュッシー、ラヴェル、プーランク、フランスの音楽、無意識のもの。そして奥深くの自分の気性からも影響をうけているとおもいますね。
クリンペライの世界各国での評判はどうですか?
クリストフ:僕にもよくわからないんだけど、この小さな西ヨーロッパ(フランス、スペイン、ベルギー、オランダ、ドイツ、イタリア)では幾分アンダーグラウンドでは知られた存在なんだ。日本でも同じくらいかな。イギリスとアメリカでは少し違う。中野良い友人もレーベルもあちらこちらにはいるんだけど、オーディエンスがあまり多くないようなんだ。
創作の意義についてどう考えますか?人はなぜ創造しなければならないのでしょう?
クリストフ:ふつうの事だと思うよ。作っていないのは死んだも同然だ。”何を”創るのかは関係ない。物や音楽だけじゃない、人と人のつながりも創れるものだし、おいしいものを料理できる。友人にいい気分になってもらう術を創ってもいい。家族を創ったって、なんでもいいんだ。ただ、とても必要なことだとおもう。

フランソワ:私にとっては親と子供という関係になる以外で、人生における自分自身に気付くため。プロフェッショナルになるためですね。

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